市場流通と産直流通どちらが良いのか!?青果流通の仕組み③

今回は、青果流通の流れを例をあげながら市場流通についてお伝えしていきます。

<卸売市場流通(市場流通)の流れ>

 まずはじめに卸売市場(市場内)における主要なプレイヤーについてざっとみてみると下記のようになります

○ 卸売事業者
農林水産大臣の許可を受けて、出荷者(生産者や産地の流通事業者など)から販売の委託を受けた品物を、仲卸事業者や売買参加者へ販売する事業者。”大荷受”と呼ばれることもあります。売買参加者である弊社の目線から見ると市場のボスキャラ的存在です。

○ 仲卸業者
卸売事業者から買い受けた品物を市場内の店で、小売事業者など市場に買い出しにやってくる人たちに販売する事業者です。

○ 売買参加者
仲卸事業者と同じく、卸売事業者や仲卸業者から商品を買うことができる事業者(八百屋などの小売店)。ちなみに、弊社は現在、東京都中央卸売市場豊島市場にて売買参加者となっています。

○ 開設者
市場の運営・施設の維持管理、業務の許可・指導監督を行います。言うなれば、市場のオーナー。卸売事業者はこの開設者から委託を受けて市場を仕切っています。中央卸売市場であれば都道府県・市などの自治体が開設者となっており、地方卸売市場の場合には民間の会社が開設者となっている場合も多いです。

 次に、具体的な卸売市場のモノの流れについて、私が京都出身なので、例として京都で生産された野菜が市場流通で東京の消費者の手元に届く流れを説明すると

①京都の生産者によって栽培された作物は、地元の”農協”または”地場商社”(業界では地場商人とも呼ぶ)、”出荷組合”などの流通事業者(出荷組合は生産者が集まって作っているケースも多い)へ持ち込まれます(場合によっては流通事業者が畑へ集荷に来るケースもあります)。

また(生産者自身が)地元の卸売市場へ商品である農作物を持ち込む場合もあります。
※ よく青果物は農協を通さなければいけないと誤解している人もいるのですが、そのようなルールや法律はありません。

②複数の生産者から集められた青果物は、上記の流通事業者たちが巨大なトラックや鉄道を手配し、まとめて東京の市場へ輸送されます。

③市場へ到着した青果物は、市場に1〜2社程度存在する”卸売事業者”(イメージとしては市場を仕切っている会社)が受け取ります(時間的には夕方から夜にかけて市場へ持ち込まれます)。

④青果物は翌朝以降、”卸売事業者”によって”仲卸業者(仲介業者)”や”売買参加者(八百屋さんなど)”へ販売されます。

⑤ 販売された青果物は、仲卸業者であればスーパーなどの量販店や食品加工業者、飲食店などへ、八百屋さんなどの売買参加者であれば飲食店や店頭で一般の消費者へ販売されます。

弊社が都内(文京区)で運営する青果店八彩(YASAI)白山店

ざっとものの動きだけを見ると、市場流通ではこのような流れで産地から消費地まで青果物が移動します。

 実際は各事業者間の販売形態や決済の仕組みなど上には記載していない重要なポイントがあるのですが、その話は別途卸売市場に関する詳細の説明のところで詳細を書きたいと思います。

 ここでよく出る意見が、”このご時世、仲介業者多すぎない?“というものです。

 たしかに、上記の流れだけを見るとそう感じるのですが、青果という商品の特性と実際にそれぞれのステージで行われるやりとりや各事業者のもつ機能を理解すると、必ずしもただの仲介業者が多い非効率な仕組みではないことが分かるのだけれども、その話もまた別のところで詳しく書こうと思います。

 この質問に対する重要なポイントは、本当に市場流通で出現する上記のプレイヤーたちがそれほど機能をもっていなくて、仕組みとして非効率的であるならば、(生産者も消費者もバカではないので)とっくの昔に市場流通はインターネットを使った新しい流通事業者たちにとって変わられているということだと思います。

 しかし、実際は上で述べている通り、直近の10年をとってみても市場流通が依然大きな役割を果たしており、逆にインターネットを使った新しい事業者たちは苦戦しているのが青果流通業界の実情です。

 また、他にも市場流通のデメリットの部分で”流通日数の長さ”があげられることもありますが、ふつうにいくと産地で収穫された青果物は当日、または翌日には卸売事業者の元(市場)へ届けれられ、早ければ出荷の翌日、遅くとも翌々日には卸売事業者から仲卸業者などを経由して小売事業者へ販売されています(もちろん、東京で販売する場合、関東近郊の産地と九州や北海道などの遠隔産地では流通日数は1日程度ずれます)。

 上記は世界でみても例を見ないすごい青果流通網であり、よく日本の青果物の品質が海外と比べて高いと言われる理由の一つは、全国に作り上げられたこの青果流通網のおかげであるところが大きいと思います。

 ただ、一つ注意が必要なのは、上記の流通日数は、生産者、介在する各流通事業者が最早で青果を流通させた場合です。実際は様々な理由からどこかの事業者のところで青果物が滞留することも多く、スーパーなどの量販店の野菜の鮮度が良くなかったりする理由もこのあたりにあったりします(この辺のお話はまた別のブログでお話ししたいと思います)。

最後に市場流通を利用する生産者と消費者のメリット・デメリットをまとめておきます

<市場流通のメリット(対生産者)>
○ 数量が多くても販売してくれる 

○ 出荷先の与信管理の必要がない(販売代金は5日程度で市場から確実に入金される) 

 ○ 顧客からのクレーム処理に対して(直接)対応する必要がない。 

<市場流通のデメリット(対生産者)>

○ 販売価格が市況に左右される=価格の決定権がない(所得が不安定になりやすい)

○ 市場の買い手(量販店など)の性質上、商品の質が良くても差別化しずらい(他の生産者の商品と混ざってしまう) 

○ 作り手である生産者の情報が産直流通よりも消費者へ伝わりづらい

<市場流通のメリット(対消費者)>
○ 物流コストを抑えられるため、宅急便を使う産直流通と比べて購入価格が安く抑えられる 

 ○ 全国の産地から一年を通して安定的に青果物が供給される 

<市場流通のデメリット(対消費者)>
○ 市況に青果の価格が左右される(小売価格が不安定になりやすい) 

○ 生産者の情報がわかりづらい

次回は、市場外流通についてお伝えしていきます。